Method

先行研究
『説明文理解における図の呈示方法と学習スタイルとの適性処遇交互作用』岸 学先生,中村光伴先生,白井裕美子先生らの論文(東京学芸大学紀要,2005年)などを参考に,児童の学習スタイルの区分法を考えました。

学習スタイル
http://psycho.u-gakugei.ac.jp/teacher/kishi2.htmlを参考にして,児童の学習スタイルを特定する質問紙40項目を作成しました。次に小学5年生241名に調査・分析した結果,3つのタイプを抽出しました。
■Aタイプ:勉強をするとき、細かくていねいに考えるほうだ。どんなことにたいしても よく見てから行動するほうだ。テスト勉強をするときなど、自分なりのノートの整理を心がけているほうだ。
■Bタイプ:考えるより、まずすぐにためしてみたくなるほうだ。道具を使ったり、自分でやってみる勉強がすきだ。話し合いをするとき、自分から意見を言うほうだ。
■Cタイプ:勉強をするとき、困ってしまうことが多い。むずかしい問題をとくとき、どこからやっていいのかわからない。自分が言ったことや、やったことをあとでくよくよ考えるほうだ。

ICT活用時の工夫を測定する評価項目
児童の学習スタイルの区分ができましたので,次にICT活用時の授業の工夫について考えました。授業の工夫は,ICTに関連する事項だけではなく,従来からよく行われているものがたくさんあります。そこで,大阪府放送・視聴覚教育研究会の事務局を担う十数名の先生方に、日常的なICT活用時に工夫している項目をブレインストーミングにより18項目を抽出しました。
 01:前の時間にやったことが思い出せてよかった
 02:何をしたらよいか、何を考えたらよいかわかった
 03:教科書や資料が大きく写ってわかりやすかった
 04:友達のノートが大きく写ってわかりやすかった
 05:実際のものが大きく写ってわかりやすかった
 06:テレビ番組を止めながら見たのでわかりやすかった
 07:ビデオを見て勉強してわかりやすかった
 08:グループで考えることができてよかった
 09:ひとりで考えることができてよかった
 10:友達の発表を聞いて、わかりやすかった
 11:自分の考えや意見を発表できてよかった
 12:自分がやりたい問題を選べてよかった
 13:自分で調べたいことに取り組めてよかった
 14:自分でパソコンやデジカメなどを使えてよかった
 15:プリントに書き込んでわかりやすかった
 16:先生がそばに来て教えてくれたのでわかりやすかった
 17:先生の話(授業の説明)がわかった
 18:先生がわかりやすく黒板にまとめてくれた

評価項目の分析
ICT活用時の工夫を測定する評価18項目から,それぞれの授業に適した項目を選択して,授業後児童に回答を願う質問紙を作成します。回答結果を回帰分析で処理して,評価項目と成績や授業がわかりやすかったの関係を判断します。